【すごいぞ刀剣乱舞!】薬研藤四郎 再現刀を見て
京都、建勲神社にて約一週間限定で公開されていた『薬研藤四郎 再現刀』を見に行ってきました。
というのも、Twitterで告知を見て行かねば行かねばと感じていながら、詰めすぎたバイトのお陰で休暇が捻出できず、なあなあになって結局行かないまま終わるところだったのですが……。
とあるフォロワーがつい昨日見てきたという呟きをしていて、ハッとしたんですよね。いや無理にでも見に行かなきゃと……
ということで諸々を削ってみたところ、行って帰ってくるだけの時間を見つけたので、近鉄に乗って京都まで行って参りました。
感じたことが沢山あるので、せっかくなのでここに書きとめようと思います。自分のために。
北大路バスターミナルから市バスに乗り、建勲神社前にて下車。
このバス停から歩くことほんの五分ほど。
登るの!?ってちょっとビビりました。鞍馬に比べたら大したことないです。
階段を上がって誘導されるまま坂道を登ると、近くの小学校で音楽の授業をしているのかリコーダーの音色が響いてきます。穏やかな平日の午後という感じでたまらんエモーショナルでした。
登っただけあって眺めがとてもいい。晴れていて風も気持ちよかったです。
到着!!
この貼り紙可愛いですよね。薬研藤四郎とその再現刀。ちょっと小さい……生まれたてだからなのかな。
もしこの再現刀に付喪神が宿ったらどうなるんだろうっていうの、刀のオタクさんはみんな考えたと思うんだけど私もずっと考えてました。平成の刀匠によって薬研藤四郎を再現する目的で作られた刀。見る人はみんな「薬研藤四郎」を見出してるわけで、しかしこの刀は戦争すらない時代に打たれてるんですよね。人格が宿ったら本当にどうなるんだろうね……。絶対山姥切よりも拗らせると思うんだよね。すごく見たい。以下略。
すぐそこに再現刀があると思うと心臓痛いし体調悪くなってきて大変でしたね。元々体調は悪いんですけど……あてもなくウロウロして、でも観念して踏み込みました。
どんな顔していいか分からなかった。でもほんの少しでも刀の知識を持っててよかったなと思いました。ちゃんと刀を鑑賞したのは多分初めてなんですけど、まず遠いんですねこれが。緊張してるし、刃文がとか地金がとか、肌はどうだろうとかそこまで見えないんだな……。刀を鑑賞するための拡大鏡みたいなの売ってるしあれいるなって思った。
うん、でもその距離から見てもよく分かるんですよね。鋼の美しさが。
私が信長なら(?)この刀手に入れたいって思うだろうなーって。赤ちゃんだから欲しいものに対してすぐ欲しい!!!ってなっちゃう(?)んだけど、いや、本当にね、美しかったし、確かに所有欲が沸いたんだ……。この美しい刀を手に取って飽きるまで眺められたらどんなにいいだろうと思いましたね……。
はい。どうしたらいいかわからんまま境内をウロウロして、とりあえずお布施しなきゃ……と、御籤を引き、御朱印帳は品切れということで家に送って貰う手配をして。とりあえず薬研の御守りを買って、薬研の御朱印はまた改めて貰いに来ようと思いました。書き置きの限定の建勲神社御朱印は買いました。
こんなかわいい爆死フラグ建てまくられていたのに、なんと大吉を引いてしまいました。
近侍に愛されてます……。
14:30から刀匠藤安先生のご講話ということで、暫く時間を潰すことにします。本殿を覗いたり、もう一度再現刀見に行ったり、おにぎり食べたり。
というかこう時間を潰してる間にも藤安刀匠がそこのテントに普通にいて普通にスタッフさんと雑談してて……私にとっては芸能人みたいな、実在してるのかよくわかんない感じの存在だったからびっくりした。ご本買ってプラス2000円出すとサインして下さるみたいだったんですけど、自称苦学生今回は遠慮しました。
14:26頃に少し巻きで、講話が始まりました。別にどこに公開する気もないですが、これは録らないといけない気がしたので開始3分くらいから録音しました。マジで録音したのは正解だった。
特に記憶に残ったことをちょっと書き留めておきます。覚えているうちに。
・藤安刀匠は鳴狐の再現刀も製作を依頼されている。国吉と吉光では異なる作風がある。
→ザワっとしていた。既に泣いてるオタクいた。私は見た。
・刀は刀鍛冶の力だけでは打てないということ。炭が、窯が、なんやらかんやら色んなものが必要で、その色んなものを作れる職人は今やどんどん少なくなってきているということ。
→この辺で私もメソメソしていた。かなしいと思った。もどかしい。私はそれを助ける手立てを何も持っていない。
・戦う日本人を支えたのは「自分の命よりも大切なものを知っている」ということ、それが人を斬る道具である刀をかくも美しく魅せるのだということ。
→そういう語り口めちゃくちゃ好きなのでメソメソメソメソ泣いてしまった。そんな言い方しないで欲しい好きだから。
自分の命よりも大切なものを知ってるんですよ、彼らは。戦う彼らは。藤安刀匠はそれを大戦渦中の兵士を思いながら口にしたかもしれませんが、私は咄嗟に源義経という約五年来の推しを思い浮かべました。
彼も自刃した武将のうちの一人です。その時に使ったのが今剣であるという伝承も残っていますよね。刀剣乱舞世界ではそれは物語ということにされています。
源義経もまた、あの時己の腹を斬ることが、己の命を一秒でも長らえることよりも、優先すべきことだったんですよ。そうやって武士は腹を斬る。それは命より大切なものを護りたいから、その手段として時には短刀を使う。
薬研藤四郎はどうでしょう。主の腹を斬らない刀という伝承を背負っています。その伝承が信長を惹き付けて、彼の懐に収まるに至ったわけですが、結局信長も本能寺で自刃に追い込まれましたね。
「自分の命よりも大切なものを知っている」、それって多分「誇り」とかそういうことですよね。誇りのために死ねる。その精神が日本人の強さである。
薬研藤四郎の逸話って、そこと微妙に相反するんですよね……。或いはそれこそが、刀剣乱舞の薬研藤四郎というキャラクターが持つ誇りにもなっていくんだろうとは思うんだ。修行から戻った彼は付喪神として人の体を得て顕現した今、自らの力で主を守り、腹を斬ることなんてさせないという意思を持って
いや、この話関係ないわ。関係ない。刀剣男士薬研藤四郎のアイデンティティの話は今はいい。再現刀の刀匠である藤安先生がそれ言うのってちょっとシニカルというか、いいなって。そういうことにする。
とにかく私はそういう武士の精神の話がずっと大好きなんですよね。しかもそれを、現役で刀を打ってる人が言うんだぜ……エモくて泣いちゃった。
・だがしかし、その日本刀を受け継いでいくのがとても困難であり、国からの援助も心許ない。なにも日本刀に限った話ではなく、伝統工芸やその技術は危機にある。
→この話もつらかったから泣いてたしみんな結構泣いてたよね。お弟子さんが二人いるらしい。すごい勝手な話だけど、先生には長生きして欲しいです。本当に薬研藤四郎を見せてくれてありがとう。この日本のこの時代に生きててよかった。国は頑張って、伝統技術の維持に意識を回して欲しいんですけども、他にも頑張って欲しいことが多すぎて、なんと言えばいいんだろうなもう……。私が大統領になればいい?
・昨年、薬研藤四郎再現刀を初公開した際、建勲神社に世界中から多くの人が集まった。それを見て、宮司さんと「これだけ人が集まってくれるんだから、まだまだ捨てたもんじゃないね」と話したということ。
→オタク、号泣。だめだった。そんなことを言われてしまったら刀剣乱舞を好きになった私の存在をも認められてしまったような気持ちになる。
みんなが薬研藤四郎を愛しているという事実が、ひとつの世界にとっては確実な一歩なのだろうと思った。そして刀剣乱舞というコンテンツは、その一歩を作り出した最も大きな力のひとつだと思う。
だとしたら、薬研藤四郎を教えてくれた、導線を作ってくれた刀剣乱舞って、ものすごいことをしているのでは?と思った。刀剣乱舞、すごすぎる。どんだけ世界に影響与えたんだ。どんだけ日本刀の世界の魅力を広げたんだ。やべえ。パネエ。私も刀剣乱舞みたいになりたい。というかもう刀剣乱舞になりたい。
・鉄が溶ける温度になるのを待っているときにボンヤリ考えたことってすぐ忘れちゃうのでこうやって皆さんにお話して、皆さんの記憶に留めていてほしい。
→了解しました。あらかた言葉にしました。
御籤や御守りを買った時、社務所って言うんですかね、そこの奥に座ってた旦那さんが、嬉しそうにお客さんに話しかけてたんですよ。みんな審神者ですか?って。
もちろん経済的な話でもそうかもしれないけど、やっぱりこういう、若い人が知り得なかったようなことが、何かをきっかけに広まって、人を集めて、愛されていくのって、嬉しいことなんだろうなって思った。
失われてほしくないですね。
失われてほしくないなあ、とボンヤリ考えるだけなら誰にだってできる。
やっぱり見晴らしがよかった。
また来ます。来年の一月くらいに御朱印めぐりしたいので。
もなかおいしかった。
プレイリスト:刀剣乱舞 を再生しながら帰ります。今から部活です。
お読みいただいた方が居ましたら、ここまでありがとう。
【11/10追記】
必ず行きます。ありがとうございます…。